三項関係における提示(showing)。

三項関係における提示(showing)。

(一人でパズルを作り上げるだけでなく・・・)

(完成したパズルを職員に見せにくる、提示showing)

児発に通うある男の子が、パズルを一人で完成させるだけでなく、できあがったパズルを職員に見せに来るのですね。

「誰か(人)に何か(物)を」という三項関係におけるコミュニケーションの様子です。精神発達における重要な指標となる三項関係では「指差し:pointing」(ママ、あれを見て!)コミュニケーションが代表的なものとして取り上げられますが、このように自分が手に持った物を見せに来る(提示:showing)という行動もまたあるのですね。

ちなみに、この子は利用当初、ペグ差し教材などで、自分ではできないことがあると、職員の手を引っ張り、「やってくれ」と言わんばかりに要求をしている子でした。ペグ差しを完成させるために職員を呼ぶという行為も、三項関係におけるコミュニケーションのようでありながら、その中心となっているのは「物」であり、「人」とコミュニケーションするための行動ではないのですね。しかし、このパズルを見せに来るという行動は、明らかに職員に自分の喜びを伝えようとする、「人」とコミュニケーションするための行動であると言えます。

写真では、胸に手を当てています。これは、職員の拍手を真似して、胸で手を叩いているのですね。模倣による「手叩き」身振りのコミュニケーションです。

言葉こそいまだ出ていませんが、このような言葉以前の言葉(前言語的コミュニケーション)の発達が、言語発達にとっては明らかに重要になることでしょう。そして、「人に自分の発見や喜びを伝えたい!」「人と気持ちを分かち合いたい!」という、共感的な感情の育ちが無くしては、こうしたコミュニケーション行動も生まれないでしょう。他者との関係性発達に苦手感を持つ自閉スペクトラム領域の子どもほど、こうした視点が欠かせません。

午前中には、職員との体遊びやスキンシップをたくさん楽しんでいました。お昼前には、大好きな川へお散歩に行きました。こうした周囲の大人との一つ一つの共感的な生活体験の積み重ねが、この子の三項関係における「提示」コミュニケーションや「手叩き」身振りのコミュニケーションへと繋がっているのでしょう。