三項関係とは、「誰か(人)に何か(物)を」という形で、本人と他者との間に物が媒介されるコミュニケーションの形態(本人-物(対象)-他者)のことを指します。三項関係の成立がなぜ重要視されるかと言うと、「本人ー言葉(対象)ー他者」という言語的コミュニケーションの基礎に位置づけられるからです。
三項関係の形成は、「子どもー他者」の関係世界と、「子どもー物」の関係世界の両者が十分に結びつく中に発達していきます。
例えば、子どもとスキンシップを楽しむ、歌を歌ってあげながら身体遊び、表情遊びを楽しむ、いないいないばあ!を色々なバリエーションで楽しむ。こうした体験は物を介在しない「子どもー職員(人)」の関係として、楽しい、嬉しいという気持ちの共有体験を重ねることを通して築かれていきます。
一方、「子どもー物」の関係は、様々な物の探索活動を自発的に行うことを通して発達していきます。
物の探索活動自体も、他者との安心できる関係に支えられたものでありますが、次第に、別々の文脈で行われていた「子どもー他者」の関係世界と「子どもー物」の関係世界の両者が直接的に結ばれていきます。
ある子が、職員が持っていたおもちゃ(物)を取って投げ、にこにこしながら職員(人)の方を見ていました。職員が「あ~!」といって、リアクションしてあげると喜んで逃げ出し、職員も追いかけました。
またボールハウスに入っていた子が、ボールハウスにつる下がっているひも(物)を強く引っ張りぱっと放す、それを職員(人)が「うわっ!」とリアクションしてあげると、遊びのテンポをつかみ、何度もひもを引っ張っては、職員の反応を楽しむように交流が生まれます。
こうした様子は、「取る、投げる、引っ張る、放す」という物との世界で獲得した手操作を、人と交流するために結び付けており、三項関係に向かう発達の中間的な段階として受け取ることができます。徐々に人と関係を結ぶために、物の受け渡しや提示、指さし等の行為が始まります。
「指さし」コミュニケーションは、人と物(対象)を共感的に体験したいという三項関係における代表的なコミュニケーションの形です。言葉の発生自体が、本来他者と物(対象)を共感的に体験したいという人の欲求に根差しているというのは、当たり前のようでなんだか不思議です。
子どもと共感的に関わるという事もまた、日常的で当たり前のような結論ではありますが、療育の場で意識的に実践していることの一つです。